この話の主人公は山田昭男(やまだあきお)さんという、岐阜県に本社がある電気設備資材メーカー「未来工業」の創業者の一人で、その型破りな経営で半世紀近く、目を見張る好業績を続けてきた名物経営者だったそうです。
しかしながら、惜しくも今年7月末に82歳で亡くなられたとのこと。
「未来工業」の何が型破りなのかという、いくつか例を挙げてみますと、「1日7時間15分労働」、「年間休日約140日(有給休暇を除く)」、「地域でも上位の給与」、「全員正社員」、「70歳定年で60代の平均年収約700万円」、「残業・ノルマなし」と、“社員をとことん大事”にした会社だったのです

それは「豊かな人生が、やる気を生む」という山田さんの信念からですが、唯一社員に求めたのは“常に考える”ことであったそうです。
アイデア・提案、何でも一件五百円で買い取り、それが国内有数のシェアを誇る源となったとのこと。
儲(もう)かる秘訣(ひけつ)を聞かれ、「儲からない会社の反対のことをやる」と、時流に流されずに年功序列を貫き、成果主義に背を向け続けたそうです。
現在の日本は、小泉構造改革以降「新自由主義」とやらにすっかり毒されてしまい、コスト削減第一、従業員は使い捨てのブラック企業が闊歩する、お世辞にも「社員が幸せを感じる企業」などというのは、必死になって探さないと見つからないご時世となってしまいました

そんな中、こんなにすばらしい経営者が居たんだと知り、まだまだ日本も捨てたもんじゃないなと感動を覚えました

そんな、経営者として非常に手腕を発揮された故・山田昭男さんですが、四柱推命的にはどのような背景があったのかと気に掛かり、早速、生年月日を調べてみました。
下図が、その命式となります(生時不明)。

一つ目の特徴としては、日柱天干が「己(つちのと)」となっています。
この「己」日干の人は一般的に、義理人情に厚く表面は温和ですが、内心は野心や策略をめぐらし、腹の内を他者に明かさない面もあります。
融通性があり器用ですが、物事をまとめる決断力が足りない面があります。
ギャンブルをよく好み、おのれの器以上の野心を起こしやすいものです。
男女とも家族との融和を最高位にもてば、幸運に恵まれる事が出来ると言われています。
二つ目の特徴としては、日柱干支が「己未(つちのとひつじ)」となり、これは別名“天上火(てんじょうか)”と言われています。
「天上火」とは火炎が天高く炎上するという激しい星です。
“土(戊己)”と“午未”は火が生旺となる地であるので、火が炎上して天に上がり頂点に達するという事から「天上火」としました。
その運気は火として燃え上がり成功するという意味もあります

しかし、運気は頂点にある為に、四柱及び五行の凶害星に会えば、凶害が遺憾なく発揮され災難を受ける場合があります。
中年に発達し、晩年急に衰える場合があります。
また、この納音は十二運が「冠帯」となるので運命の吉凶の変化は、同じ「天上火」の“戊午・帝旺”ほどは激しくありません。
智あり徳あり、慈悲心も厚く、社会の上位に立ちます。
自信家も多いので、四柱が悪い場合には、勝ち気な性格が返って仇になることもあります。
若い頃は苦労があっても、中年以降に運が発展をします。
女性は男性に比べ比較的安泰ですが、男性は自尊心が強いためサラリーマンになっ
た場合には転々として会社を変わってしまいます。
大体自由業がよく、自営の商売などが成り立ちます。
女性は経理関係、営業事務などが合うものです。
浮き沈みの激しい星で、「傷官」さえなければ良い命運となると言われています。
三つ目の特徴としましては、月上天干星が「劫財(ごうざい)」・年上天干星が「食神(しょくしん)」となっています。
(注:当流派では「比肩」と配偶関係になる通変星を「敗財(はいざい)」と「劫財」で区別しています。すなわち、日干が陽干の場合にはこれを「敗財」と呼び、日干が陰干の場合にはこれを「劫財」と呼んでいます。)
この「劫財」と「食神」が並ぶ命式のことを、当流派では「劫財特達(ごうざいとくたつ)の命」、略して「劫達(ごうたつ)の命」と呼んでいます。
この並びは、大人しいですが財を生み出す潜在能力を持つ「食神」と、大胆さや豪快さ、積極性はありますが、財を尅して流しやすい「劫財」が出会うことによって、互いにその欠点を補って、長所を引き出すという星の並びとなっています

“特殊な財に恵まれる”という意味があり、宝くじに当たったり、思わぬ遺産が転がり込んだりということがあります

また、“援助者に恵まれる”という意味もある星ですが、真面目にコツコツと働いて行こうという星ではありません。
ブローカーやトレーダーにも多い星ですが、四柱や五行に財星が強く出ていないと、結局はお金が流れてしまいます。
特に、ギャンブル等は注意しなければなりません。
この形式の有名人には、明石家さんまさん、井上靖さん、黒澤明さん等が居ます。
山田さんの場合、中心星が「劫財」となりますが、「比肩」と同類の星ですから、個性と自我が強く我がままな面があります。
しかし、年上に旺相した「食神」が出ることによって、凶面より吉面の方が強くなっています。
また、「劫財」は“強気の失敗”を意味し、良い意味でも悪い意味でも“ものに賭ける”という意味があり、大胆に冒険が出来る星です。
さらには、ネアカで大風呂敷を広げる傾向もあります。
ですので、山田さんの会社内での役割と言うのは、その前向きさ、ポジティブさで、先頭に立って引っ張って行く、言わば“旗振り役”だったのではないでしょうか?
四つ目の特徴としましては、三柱の十二支がすべて土性となり、かつ、これが「比肩星」に該当することから「比肩星の三土」という形式となります。
また、五行図を見て頂ければ分かるように、五行のエネルギーが「比肩星」に大分、偏っています。
この形式は一般的には、極端に凶事が現れてきやすく、性格も我がままで、人間関係に問題が出やすいと言われています。また、金銭絡みのトラブルにも注意が必要となります。
ただ、時として、個性の強さがあるために、一部からカリスマ的人気を得ることもあります。
「比肩」が分離を意味していますので、人生に生き別れや死に分かれが多く、愛する者との別れが人生の中でのテーマとなります。
しかしながら、山田さんの場合は「劫達の命」でもあり、「劫財」の凶面が、旺相した「食神」と組むことにより、吉面に転換されたようです

これが、山田さんが年間200日以上も講演に飛び回ったという、人気の秘密でもあったでしょう


上図は、山田さんの大運表となります。
1948年、旧制中学卒業後、父の経営する電線メーカーに入社されます。
同社在籍中、劇団「未来座」を旗揚げし、昼はサラリーマン、夜は舞台監督や裏方全般として活躍されていたそうです。
大運が「印綬・沐浴」となっていたために、“芸能”方面への興味が非常に強くなっていたのでしょうか?
1965年、劇団に熱を入れ過ぎたため、勘当され、劇団の仲間とともに電設資材メーカーである「未来工業」を設立し、同社社長となられました。
大運「正官・建禄」とまさに、運気的には一番旺盛な時期でのことでした。
1991年、同社を名古屋証券取引所市場第二部へ上場させました。
大運「食神・病」、流年は「食神・冠帯」と将に「劫達の命」の本領発揮でした。
2000年、同社相談役に退かれています。
大運「傷官・死」と若干運気に陰りが見え始めてきた時期でした。
そして今年(2014年)、7月30日に多臓器不全のため岐阜県大垣市の病院で死去されました。大運は「劫財・絶」で、将に天寿を全うされ、天命を果たされたのではないかと思われます。
以上、四柱推命的に故・山田昭男さんの人生を振り返ってみましたが、生時が不明ではあるものの、その“カリスマ性”を証明するには十分だったのではないでしょうか?
現在、日本企業の国際競争力というものは、どんどん低下して来ています

それは、働く人を“儲けるための材料”としか見られないような企業経営が、どんどん幅を利かせて来ている悪影響ではないかと思われます。
実は、山田さんが説かれているような“社員を大切にする”企業経営は、別に目新しいものではなく、元来の“日本式経営”と呼ばれていたものに過ぎないはずです。
それが昨今、急速に衰退していっていると・・・。
日本経済が現状を脱却し、再び活気に満ち溢れたものになるには、その“日本式経営”の復権が待ち望まれるのではないでしょうか?
将に、“経済的豊かさ”と“国民の幸福”の両立する国という、日本のあるべき「未来」を山田さんの残された「未来工業」は指し示していると言えるでしょう


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